「アレルヤさあああん!」
「どうしたんだい…ってどうしたんだいその顔!!」


 今回、地上でのミッションはティエリアとだけのはずだった。けれど二人が地上に降りて二日目、ティエリアから「身の危険を感じる。誰かもう一人寄越せ。」とだけ綴られた緊急暗号通信が送られて来たので、こうしてアレルヤも二人に合流することになった。

 しかし基地に着いても二人とも見つからず、うろうろしていた所を後ろからに呼ばれた訳だ。久しぶりに聞く少女特有の高い声に振り返り、アレルヤは目を剥いた。なんとの左頬が真っ赤に腫れている。さすがに虫歯ではないだろう。


「とうとうアーデにやられちゃいました」
「それは…笑顔で言うことなのか…」
「ええ、それはもう!」


 どこからどうみても痛いだけのようなその頬をさすりながら、はうっとりと目を閉じる。周りは花が咲いているどころかオーラが既にピンクだ。彼女がこの世界に浸ってしまうと、ティエリア以外の誰にも引き戻すことはできない。手を上げられてなおティエリアを追いかけるという打たれ強さは尊敬ものだ。

 トレミークルーたちだって、ティエリアを気の毒に思いながらも、心の内では自分が標的にならなくてよかったと思っていることだろう。気の毒ではあるが。非常に気の毒ではあるが。

 ティエリアも真面目に相手にしなければいいものの…とアレルヤは思ったが、そうやって冷たくあしらったところでまたは「その冷たさがたまらない!」とでも言うに決まっている。ポジティブシンキングどころか、どこまでも都合よく解釈できる頭を持っているらしい。プラス思考も過ぎると恐ろしいとアレルヤはを見る度に思う。そして彼女のような能力(とは言い難いが)だけは身につけたくないものである。


「でもさすがに、その顔は冷やした方がいいよ。メディカルルームへ行こう、
「別にあたしはいいんですけどねー。アーデに“その醜い顔をなんとかしろ変態女”とか言わ、」
「うん、今すぐ冷やしに行こうか」











もっと冷たく囁いて!


〜ドMは体が資本〜







(2009/4/15 彼女は僕の手には負えないよ、ハレルヤ…)

(はー、気持ち良いですー)
(そりゃ…これだけ熱持ってたらね…)
(渾身の一殴りって感じでした。私、愛されてるかも知れない)
(それはないと思うよ)