昼下がりのリビング。コーヒーカップを食器棚に戻すリーマスの横顔を見て、思わずカメラを構えた。 「、またマグルのカメラかい?」 軽快なシャッターの音がしたと共に、リーマスはおかしそうに笑いながら振り返る。 魔法界にやって来て、こちらのカメラは手に入れた。けれど、ホグワーツに入学するまで手にしていた私のカメラはマグルのカメラ。写真は動かない。これに愛着が湧いているのだ。確かにこちらの写真は手を振ってくれたり笑いかけてくれる。けれど、美しいと思った一瞬を、写真の中に閉じ込めてくれはしない。ほんの一瞬を手に入れたいと思えば、やはり手にするのはこのカメラなのだ。何度言った所でリーマスには理解できないみたいだけど。 「止まっている写真は嫌?」 「そうじゃないけど、変な感じだね」 「私にはこれが普通だったもの」 カメラを撫でてリーマスに笑いかけた。そんな私の手からカメラを撮り、構えて見せる。なにするの、と聞くと同時に切られたシャッター。 「ちょ…っと!」 「はは、面白い写真が撮れたと思うよ」 「ひどい!間抜け顔が写真に残っちゃうのよ!」 怒りながらカメラを取り返そうと手を伸ばすも、私よりずっと背の高いリーマスがひょいっと腕を上げてしまえば届くはずもなく。バランスを崩した私はつんのめってリーマスの上に倒れ込む。そのままどさりとソファの上に倒れ込んだ。 「良いじゃないか」 「どこが良いのよ」 「その写真を見る度、も僕もこうしてくだらない会話をしていたことを思い出すんだ」 「それが間抜け面である必要はないわ」 「それすら愛しいと思える日が来るよ」 唇を尖らせた私の髪を撫で、リーマスは笑う。私の機嫌を取るように優しいキスをすると、最後にまた一つ殺し文句を言った。 「まあ、僕には既に君が愛しくて仕方ないけどね」 「もう…」 恥ずかしくなって、照れ隠しにぎゅっと抱きつけば、耳元でくすくすと笑う声。悔しくって、首を絞めん勢いでリーマスを抱き締めた。それ以上の力で抱き締められてギブアップを申し出るのは、たった数秒後の出来事だった。 |