安眠儀式 私をいい子って撫でる手のひらが好き。指先から好きって言葉が伝わって来るようだから。 「おいで」 「…うん」 まるで子どもを呼ぶように、両手を出して私を招くのはベッドに腰掛けたティエリア。少しドキドキしながら近付き、片方の膝をベッドに乗せたら私は両腕をティエリアの首に回す。目を閉じて体を委ねれば、ティエリアも私の腰を引き寄せ、より体が密着する。伝わる互いの心音は早まるばかり。するとゆっくりティエリアが体の力を抜き、私たちは抱き合ったままベッドに沈む。 「おやすみ」 「おやすみ、ティエリア」 額に軽くキスをされ、それを合図にティエリアは目を閉じる。私はその整った顔を少し見つめた後、眠った。ティエリアの腕の中では、悪い夢など見たことがない。 (2009/10/10) |