本当のあたしはどれだったのだろうと、立ち止まる時はいつも思う。
振り返るとたくさんのあたしがいて、今、この足元さえも脅かす。


ふらつく身体も、彷徨う四肢も、そのまま抱きかかえてくれる人は、それでもいた。


あたしがあたしでいられるような、そんな錯覚。
きっと、その瞬間だけは本当にあたしだったのだと、今になって思う。



明け渡す
易易たる事
疑いの眼差し
演じる爪先まで
起き上がる揺らぎ
変わり始めた関連図
煌めく刃を棄て置いて
苦しまない分岐点の先へ
計画の軌道を外れた向こう
この先にある道は分かれても
詐欺師が二度と笑わないように
信じ続けた太陽の所在は永劫不明
過ぎ去った日々の葬送に手を伸ばす
世界が見捨てた希望の果てでもう一度
添い遂げる一瞬はゆるぎない永遠になる

瞬き一つで過ぎる刻を共に在ると誓う
満ちる幸福で流す涙が浄化する未練
夢中で追い掛けた背中に届いた手
目指す楽園へと手を繋ぎながら
戻らない日々を生きた記憶と




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